Dinner Party
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おもてなしの料理

お客さんが来られるから、おもてなしの料理をつくろう、と意気込む人もいるかもしれません。しかし、何も特別な手の込んだ料理を作る必要はありません。私は、英国のロンドンに住み、多くの友人たち、ほとんどが英国人ですが、私の家に食事に来てくれます。うれしいことに、私の料理を楽しみにしていると言ってくれる人もかなりいます。また、私の料理を食べた後、「トモのレシピ」を試して、おいしかったと言ってくれる人もいます。念のために申しますと、ここでのトモは、私のことです。

料理には、非常に手の込んだものもありますが、私は、そういうものに取り組むのは賢明ではないように思います。率直に申しますと、英国のシェフの多くは、料理に手を入れ過ぎ、また、味付けをし過ぎだと思います。つまり、レシピを見て、延々と続いているようなものや、材料のリストに多くのスパイスやハーブが入っているものは避けた方がよいということです。私は、料理は、基本的にシンプルであるべきだとおもいます。そして味付けもあまり凝らず、素材の味わいを楽しめるようにすべきだと思います。

私のおもてなし料理の基本は、まず、できるだけよい素材を手に入れること、そしてなるべく簡単に料理して、味付けを最小限にすることです。出来合いのソースや、ドレッシングなどは使いません。これらには通常、多くの化学物質が入っており、あまり自然なものではありません。また、料理に使う必要がありませんし、実際、そのようなものを使うと、食べる時に舌にマスクをかけたようになり、素材の味を隠してしまうようなことになりかねません。

例えば、英国人の多くは、マヨネーズ、ケチャップ、ブラウンソースそれにウスターソースなどをよく使います。これらは日本のものと少し味が違い、一つ例を挙げると、英国のウスターソースが好きな人は、日本のウスターソースが必ずしも好きだとは限りません。また、日本のものでも英国のものでも、それぞれの味を試してみると、私の言うことがよくわかっていただけるかもしれません。いずれもスーとくるものがなく、英国でよく言うブランド(Bland)で、風味が乏しいのが実態です。最初の感覚でわからなければ、後味を確認してみればよくわかると思います。さっぱりしておらず、少ししつこいような後味の悪さが残ります。そのため、こういうものは、基本的に使わない方が無難です。

ただし、おもてなし料理ですから、ある程度の「見かけ」が大切です。ここでは、そういうものを含めて触れていきます。

2012年1月1日

おせち料理

妻のリクエストで、お正月のおせち料理を作ることになった。友人を招待して、日本式のお正月料理を楽しもうというのだ。これは、そう簡単なことではない。まず、そういうものをこれまで作ったことがない。日本の実家で、長年、両親の作るおせち料理を見、それを食べてきたが、実際にどう作るかは知らない。次に、お客は、日本人のカップルと英国のカップルの4人だ。日本人は、おせち料理がどういうものか分かっているだけに、いい加減なものは出せない。一方、まるっきり日本式では、英国の人に受けるかどうか疑問だ。英国のカップルは、ワイン評論家とフード写真家の奥さんである。この二人とは「ワインとクッキング」の会を僕の家で定期的に開いている。その舌は言うまでもなく非常に鋭敏だ。二人とも日本に何回も訪れたことがあり、日本酒への造詣も深い。東京のカッパ横丁もよく知っている。日本の包丁を何本も持っているばかりか、卵焼き器など日本の調理器具も持っている。かなり日本の料理を知っていると言えるが、今回のような料理にどのような反応を示すか予想がつきがたい。そこで、メニューを送った際に、日本のおせち料理に僕なりのツイストを加えるとあらかじめ言っておいた。

そこでプランだ。まず、何がおせち料理か調べることから始めた。お恥ずかしいことだが、それまでおせち料理の意味を知らなかった。おせち料理の構成から始め、そして何を作るかを決めた。具体的には以下のようだ。

1. 祝い肴3種―黒豆、たたきゴボウ、伊達巻
2. 煮しめ―厚揚げ、人参、こんにゃく、タケノコ、サトイモ、ゴボウ、レンコン、結んだ昆布
3. 酢の物―レンコン、大根、人参
4. 刺身―マグロ、サーモン
5. 焼き物―エビ、タイ
6. 雑煮
7. 栗きんとん

日本では、雑煮以外、以上のものが一度に出てくるのが通常かもしれないが、僕は、それぞれを順番に出していくことにした。もちろん、1.2.3.それに7.はあらかじめ作っておく必要があるが、それでも、温いほうが良いと思われるものは温くして出し、4. 5.6. は3. が終わってから調理することにした。この点、妻が後で、料理を冷えたままで食べるのではなく、温かいのがよかったとコメントした。

最初の祝い肴には通常は数の子も出てくる。しかし、これが英国人の舌にあうかどうか疑問だ。妻は苦手だ。それでも、もし入手できれば少し買ってみたいとは思ったが、あまりこだわらないことにした。結局、なしで済ませた。

基本的に材料は、ロンドン南部にある大手中国スーパーマーケットで入手した。数日前に刺身用のマグロとサーモンのブロックをその店内の鮮魚店に注文した。僕はこの鮮魚店を結構気に入っている。自分で刺身をスライスする必要はあるが、電話で対応してくれる女性がしっかりしており、当日用意できていますと電話で連絡もしてくれる。店でのサービスもよい。

そのスーパーマーケットには、大晦日に行った。他の多くの材料はそこにあるものを買うことになる。中国産のゴボウは、日本のものよりかなり長く太い。長さが1メートル20センチぐらいで直径が2センチぐらいある。しかし、味は日本のものと変わりないように思った。

レンコンも中国産。これには三つの房がついており、最も小さなものを選んだのだが、1.1キロもあるものだった。なお、ゴボウとレンコンの使ったもの以外は、お客に持って帰ってもらった。こんにゃくは、日本のような四角いものを置いておらず、糸こんにゃくを小さな樽状にまとめた、小結び糸こんにゃくがあったのでそれを購入した。これはコンニャク・ヤム・ヌードルという名前がついていた。フード写真家の奥さんがこれを気に入った。

タケノコは、縦半分に切ったものの缶詰を購入した。これは意外によかった。ワイン評論家も言っていたが、英国の一般のスーパーマーケットで売っている缶詰のタケノコは短冊状に小さく切られており、三角錐型のタケノコはあまり見かけない。煮しめに直接使うには大きすぎるので、底部を切り取った後、さらに縦半分に切り、タケノコを縦に4分の1に切った形を強調するようにした。

サトイモは、それまで知らなかったが、英国ではEddoeとかBaby Yamと呼ばれる。店で見かけた時に、これはサトイモのようだと思ったので購入した。皮を剥いた後、手がかゆくなったので、これは間違いなくサトイモだと思った。確かに味はサトイモだった。それに、黒豆、厚揚げ、だし昆布、結んだ昆布、薄口しょうゆ、みりんなどを購入した。

さらにタイはRed Breamと呼ばれるものを2枚購入した。ピンク色の魚だが、調理後、色が少し褪せたが、味はタイだった。そしてエビは体長15センチほどのものを500グラムほど購入した。

おせち料理は大晦日に作るものだと思うが、僕が大晦日にしたのは、黒豆と栗を水に浸しただけだった。お客が来るのは午後1時なので、料理はお正月当日にすることにしていた。日本ならおせち料理を朝食べ始めるが、英国ではクリスマスディナーをお昼以降に食べる。それと同じ発想で、午後1時に決めたのである。

午後1時、お客が来た。ワイン評論家はいつものようにたくさんワインを持ってきた。これで料理にマッチするワインを選ぶのである。開けたワインをすべて飲むわけではなく、少し味見して気に入ったもの以外はどんどん捨てていく。この日の結果は?食事が済んだのは午後7時ぐらいだったが、みんな大満足で帰って行った。出したものは誰もがきれいに食べてくれた。驚いたのは、ワイン評論家が、煮しめは味が淡白で、ワインと一緒に食べるには格好だと評したことだ。焼いた餅を澄まし汁に入れた雑煮では、この汁はおいしいとコメントした。日本人のお客は、この雑煮をお代わりしてくれた。当初、僕のプランでは、タイが今日の料理のメインになるつもりだったが、僕はこの雑煮が今日のハイライトだと思った。お客のコメントを聞きながら、僕の両親にも僕のおせち料理を作ってあげたいと思った。

ここで手順に触れておきたい。

元旦当日午前7時から作業を開始した。まずは、栗の皮むき。そして渋抜きのために水に浸す。作業の過程で、きれいな栗が少ないと思ったので、サツマイモを加えることとし、その皮もむき、水に浸した。

黒豆を洗い、圧力釜で調理。圧力がかかった後、10分その圧力を維持したまま茹で、火を止めてそのまま1時間置いた。豆の柔らかさを確認。日本では色合いをよくするために錆びた釘がよく使われるが、僕は使わなかった。英国では、錆びた釘を入れる理由を説明するのは難しいと思う。砂糖、塩、しょうゆを入れて圧力釜のふたをせず、調理した。

栗を茹で水でさまし、その後サツマイモをゆっくりと煮て、砂糖、ゴールデン・シロップを加え、栗を入れ、沸騰したら火を止め、そのまま置いた。栗もサツマイモも形はそのままだ。これらをつぶすのが普通だろうが、形がはっきりと見える方がよいと思ったからだ。

次にゴボウだ。ゴボウの皮を包丁の背で削ぎ、10センチぐらいの長さに切り、縦に4等分に割いた。酢を入れた水に入れてあく抜き。酢を入れた湯で3分ぐらい茹で、すりこぎで叩いて割った。用意していた和え衣、すり鉢ですったゴールデンリンシード、酢、砂糖、しょうゆを混ぜたものと和えた。

煮しめ。サトイモの皮を剥いて洗い、一口サイズに切り分けた。ゴボウは20センチぐらい切り取り、それを酢水にさらし、薄く斜めにスライスした。レンコンの皮を剥き、1センチ弱の厚さに切り、水にさらす。厚揚げは、ザルに載せ、両面に熱湯をかけ、一口大に切った。小結び糸こんにゃくはさっと茹でた。人参は皮を剥き、一口大に切り、皮は鍋に入れて水を加え、人参湯を作った。タケノコは、既に茹でてあるので、根元を少し切り落とし、半分の三角錐型のものを縦に2つずつとした。そして大きな鍋にだし昆布を敷き、その上に材料を入れ、人参湯を注いで砂糖とみりん、それに酒を入れ、しばらく煮た後、さらにしょうゆと薄口しょうゆを入れ、半時間ほど煮た。テーブルに出す前に再び温め、味を調べて、もう少し薄口しょうゆを加えてもう一度軽く似た後、汁けを抜いて出した。

酢の物は、量を少なくし、口直しに食べていただく程度とした。レンコンの皮を剥き、非常に薄く切り、水にさらした。鍋に水、酢、砂糖と塩少と乾燥赤唐辛子の種を捨て細かく刻んで、一煮たちさせ、それに酢水でさっと茹でたレンコンの水気を取って入れた。そのまま、使うまで置いておいた。レンコンの量に比べて唐辛子が多すぎ、僕には辛すぎるように思われた。ワイン評論家は、そう辛くないよと言ったが、普段は、辛すぎるモノはワイン賞味によくないと言う。

酢のものには、さらに大根と人参の皮を剥いで、それをツマのように細く切り、三杯酢につけた。また、刺身のツマ用に大根も切って、水につけておいた。

後は、焼き物の準備だ。えびは、背ワタを竹串で抜き、それに尻尾の所から竹串を刺してエビをまっすぐにしておく。1人2尾ずつと、雑煮にエビを一尾ずつつける予定だ。雑煮用のエビも背ワタを竹串で抜いておいた。タイは、全体に塩を振って、そのまま半時間ほど置き、キッチンペーパーでふき取り、再び塩をかるくして焼く。

そして準備の最後は、伊達巻だった。まずは、卵を卵黄と卵白に分けた。次にエビ6尾の殻を剥き、身を包丁の腹ですり身にした。それに酒少量と卵白を少々入れて混ぜ、溶いた卵黄を混ぜる。卵白はハンドミキサーを使って、硬めに混ぜておき、エビのすり身、調味料と全体をざっと混ぜる。油を敷いたオーブン皿に流し入れ、200度のオーブンに入れる。表面がこげ茶色になるまで10分少々。こげ茶色になった方を下にして巻き簾に載せ、巻いて軽く絞る。そのまま使うまで置いておく。エビのすり身がピンクの粒粒で伊達巻の断面に見えてきれいだ。お客は、このエビがよいとコメントした。

用意したものを順に出していった。そして、刺身を出した。

エビの塩焼きを作って出し、その後、タイの塩焼きを出した。ここで炊いたご飯を出した。英国では、通常、白ご飯がそのまま出てくることはまずない。しかし、日本人のお客がいるので、白ご飯も出したほうがよいと思い、2合炊いておいた。しかし、全員が白ご飯を食べ、なくなった。

タイの塩焼きは二尾を並べて大皿に載せて出した。これが今日のハイライト。色は褪せたピンク色だったが、きれいに焼けており、味はよかった。僕が取り分け、タイの頬肉も4人のお客に食べてもらった。


そして次に雑煮の調理に移った。できるまでの間、黒豆、煮しめのあまりを出して食べてもらう。しばらくしてダイニングテーブルに戻ると両方とも随分減っている。かなり食べてくれたようだ。

さて、僕の雑煮には、身を取った後のタイの頭と骨が必要だ。これからストックを作る。これらを水と一緒に鍋に入れて沸騰させる。出し昆布を敷いた鍋に、ステンレス製の笊でそれを濾す。それにエビと薄口しょうゆを入れてエビの色が変わるまで茹でる。その間に、餅をオーブントースターで焼いておく。出す直前に、小口切りのねぎとサラダ用のホウレンソウを入れる。

この雑煮は、率直に言って本当においしかった。ワイン評論家は、この汁はおいしいとコメントした。ただし、僕の妻も含めて、英国では餅の食感が今一つという人が多いと思う。しかし、お正月には雑煮が必要だと思う。一方、これが本格的な雑煮かと言われると返事に窮する。ただ、僕の今までのクッキング経験の中で、ユニバーサルな雑煮にするにはこれがベストだろうと思っただけだ。

そして、最後に栗・サツマイモきんとんを出した。その後、お客が持ってきてくれたターキッシュ・ディライトを、緑茶を飲みながら食べた。翌日、ワイン評論家から、素晴らしい日本の伝統的お正月料理をありがとう、古い年に別れを告げ、新しい年を迎えるのにふさわしい料理だったとお礼のメッセージをもらった。

送別会 

2011年9月25日 日曜日

アンジェラの友人ジュリエッタの送別会を僕の家で開いた。集まったのは、妻と僕を入れて12人。午後7時からで、英国では一般的な開始時刻だが、やはり日曜日だと翌日仕事があるだけに雰囲気は低調になりがちだ。ジュリエッタが翌日26日に出立することになっており、しかも出席予定のジュリエッタの親友(女性)が前日24日までホリデーだったために日曜日25日となった。その結果、この送別会も最初低調で、盛り上がりに欠けていた。しかし、妻の話によると(僕はキッチンにいたので直接は聞いていないのだが)、1人が「おいしい!信じられないわ!」と言ってから急に雰囲気が変わったという。料理で出席者の雰囲気が変わることもあると改めて感じた。

この日、僕の出した料理はそう複雑なものではない。ベジタリアンが2人いるので、少し頭をひねる必要があったが。そこでベジタリアンとそれ以外の人が一緒に食べられるものを中心にし、それ以外に肉料理を二つ作った。魚料理はどうしても特有の臭いが出るので、今回は作らないことにした。友人の一人がデザートを二種類、アップル・クランブルとチーズケーキを作ることになっていたので、僕はデザートの心配をしなかった。アップル・クランブルのアップルは、他の友人の庭に生った料理用リンゴを使っている。後でこの友人にどのくらいリンゴができるのか聞いてみると、一本しかないが、300キロぐらいできると言っていた。

さて、最初の料理はフォカッチャである。これはイタリアで有名な、オリーブオイルやハーブの入った平たいパンである。僕はガーリックとレッドオニオンを使って、2時間前に作っておいた。出来上がりは、横40センチ、縦30センチで厚さが4センチの楕円形である。ワイン評論家で世界中を回っているグルメの友人が「見た目が素晴らしい」と言ってパン切包丁で切ってくれた。そして、フォカッチャの一片を口にして「ウン、素晴らしい」と言って、スターター(前菜)として出した「軽くオーブンで焼いたイチジクにサラダ用ホウレンソウとスイート・ロマノ・ペッパーのサラダ添え」と一緒に食べ始めた。

興味深いのは、このフォカッチャについて二人の友人が別々に僕にコメントしたことだ。最近、英国の公共放送BBCの人気ベーキング番組「ベーク・オフ」で、腕自慢の出場者がフォカッチャを作ったそうだ。エキスパートが、その切った断面を見て、フォカッチャには穴がなければいけないと言ったという。そしてその通りの穴が僕のフォカッチャにはあると言うのである。僕はそんなことは知らなかった。ただ様々な種類のパン、サワードウブレッドやベーグル、その他を頻繁に焼いており、パン作りに慣れているだけだ。しかし、この二人の友人のように、英国の料理・ベーキングブームを反映して、かなり知識が豊富になっている人が多いようだ。

次のコースは、焼き豚風ポークである。今日の料理の中で最も人気があったと思う。1キロの豚の脚肉の塊から皮を削ぎ取り、肉だけを木綿糸で形を整え、僕が中華鍋で作ったものである。この料理中には、テーブルビートを圧力釜で茹でておいた。このテーブルビートをスライスして、同じくスライスしたモッツァレッラ・チーズの上に載せ、それにバジルを料理はさみで細かく切って振りかけた。それをこしょうとオリーブオイルで調味した。バジルは、妻が庭で栽培しているもので、スーパーマーケットなどで買ったものに比べて味がはっきりしていておいしい。バジルで違いが出る。これは本来、ポークを食べない人用に用意したものだが、みんなが食べたのですぐになくなってしまった。

その次は、ピメント・デ・パドロンとフレンチビーンズのから揚げ。ピメント・デ・パドロンは、スーバーマーケットのウェイトロースで見つけたもので、スペインに行ったとき何度も料理したことのあるものだ。スペインのパドロン地方の唐辛子で、小さいグリーンのピーマンのようなもの。買った袋には、非常に辛いものが30個に一個入っていると書いてあったが、誰もそれには出くわさなかったようだ。フレンチビーンズは、サヤインゲンのようなものである。両方に塩と小麦粉をまぶし、軽く揚げた。そして、スウィートポテトのから揚げ。これらの揚げ物には、ベジタリアンを考慮して、新しいサンフラワーオイルを使った。使い古しの油ではベジタリアンによくない。

その後が、メインのローストビーフとローストベジタブルである。ローストビーフには、スコットランドのアバディーン・アンガスのトップランプと呼ばれる牛肉を2キロ買い、オーブンで焼いた。また、ローストベジタブルには、パースニップと人参に乾燥唐辛子を少し加えた。通常、肉と野菜は同じオーブントレイで調理するが、ベジタリアンのことを考えて別々のトレイで調理した。パースニップは1キロ、人参は500グラム使った。そしてローストビーフには自家製のグレイビーソースを添えた。このソースにはパースニップと人参の皮で作ったストックを使った。友人の一人がビーフをスライスしてくれたが、パンもローストビーフのスライスも、僕とはやり方が異なる。それぞれの人の個性が出るようだ。野菜はある程度残るだろうから、次の日にカレーでも作ればよいと考えていたが、僕が食べようとしたらもうなくなっていた。

ビーフを出した後、テーブルビート、トマト、そしてラズベリーを使って、ベジタリアン向けの料理を作って出した。僕はこれでゆっくりできる。後は、デザートが出てくるのを待っているだけだ。みんなとローストビーフの調理法で話が盛り上がった。

この送別会は午後10時半ごろに終わった。しばらくして寝床に入ったが、頭がまだ冴えている。恐らく、クッキングをしている時にかなりのアドレナリンが出ていたのだろう。

Roux at the Parliament Square

英国の国会やホワイトホールと呼ばれる政府の建物のあるウェストミンスターの、有名なシェフ、ミシェル・ルーのレストランで妻と食事した。マーケット・メニューと呼ばれる3コースで、値段は30ポンド。それにサービスチャージが12.5%つく。きれいで快適なレストランで、ウェイターは、フランス語なまりの英語を話す。サービスは、プロフェッショナル。妻は非常に気に入ったが、私の採点は10点満点中7.5。料理のプレゼンテーションはかなりのもので、試してみる価値はある。ランチには25ポンドのセットがある。なお、妻のドリンクの白のバーガンディは良かったとのことだ。グラス9ポンドである。

なお、妻の選んだものは、
1. Foie gras parfait, dour dough, Pedro Ximénez, plums
2. Pan fried gilt head bream, brandade, rocket velouté, potato and fennel salad
3. Late summer fruit, jasmine tea jelly, milk ice cream
私の選んだのは、
1. Chilled cucumber soup, salad of cured trout, apple and kohlrabi
2. Ox cheek, charred leek hearts, baby artichoke, summer truffle
3. Carrot and kaffir lime cheesecake, white chocolate, peanuts
以上に、コーヒーとpetits foursがつく。

ディナー

2011年8月21日

友人のナディアとラビがやってきた。
私の出した料理は以下のものであった。

1.表面を焼いたマグロのしょうゆベースの自家製チキンストックソースかけ
2.自家製焼き豚のしょうゆベースソースとヤングスピナッチ、黄ピーマン、トマト、ブロッコリーサラダ
3.スローローストのラム肩肉と新ジャガイモのオーブンローストポテトフライ
4.ピリ辛ミソラーメン
5.スイカと自家製チョコレートトラッフル

ミソラーメンには、チャイニーズスーパーマーケットで購入した乾麺を湯がいて使った。合わせみそには、みじん切りのニンニクとショウガ、ネギ、それに乾燥赤唐辛子を使い、甜麺醤、紹興酒、日本味噌、砂糖、しょうゆ、それに自家製のチキンストックを使って作った。さらにしょうゆとチキンストックでスープを作った。そしてみじん切りのねぎと茹でた紫フレンチビーンズを載せた。ゲストは、私のフライドライスが好きで期待しており、今日はないと伝えるとがっかりとしていたが、このラーメンを出すと、臭いで直ちに「これはミソ?」と聞いてきた。英国大手サンドイッチ屋のプレットでも、ミソスープを出しており、ミソはかなり広く知られてきている。実は、ラーメンを出す前に味見した時、日本味噌を入れ過ぎたと思ったが、ゲストは喜んで食べてくれた。

ディナー

2011年8月13日

古い友人のティムとモウリーンがやってきた。

私の出した料理は以下のもの。


1. バスマティ米とオートミールのお粥、テーブルビートときゅうり添え
2. ポラック(タラの一種)、セロリと人参添え
3. ラナービーンとコールラビ、エビの天ぷら
4. トンカツ、リトルジェムレタス添え
5. ラズベリーとアイスクリーム

最初のコースは、自分で茹でたテーブルビートを出したいので作った。テーブルビートはシーズンであり、赤い色鮮やかで、おいしい。これに塩であえたケンブリッジ州の短いきゅうりを添えた。コールラビは、英国でも比較的新しく使われるようになった野菜であり、じっくりと油で揚げると非常においしい。私どもは、有機野菜のAble &Coleからグルメ野菜ボックスの宅配を受けており、スーパーマーケットから購入するよりもかなり新鮮な野菜を入手している。英国のスーパーマーケットでは、ウェイトロースはそう悪くないが、時に味のあまりよくない野菜やフルーツに出くわす。デパートのマークス&スペンサーは、種類は限られているが、ウェイトロースよりは、当たり外れが少ない。土曜日には近所でファーマーズ・マーケット(農家などの直売所)が開かれており、春のアスパラガスなどは、ここで買うのが一番。

クッキングとディナーパーティ

私の趣味はクッキングである。趣味が高じて、クッキングにこだわり始めた。そして友人たちの中に私のクッキングを好む人たちが増えてきて、かなり頻繁にゲストが来るようになった。ここでは、私がゲストに供している料理の一端を紹介したい。

英国の料理は、おいしくないことで有名であった。しかし、今や、そのイメージは大きく変わってきている。英国のシェフのゴードン・ラムゼイやジェイミー・オリヴァーはアメリカでも活躍中だ。英国のスーパーマーケットも、現在では、その多くは非常に多彩な食材を提供しており、スペインに行った時、スーパーマーケットで売っている野菜の種類が少ないのでがっかりしたことがある。

2010年にフランスの雑誌Madame Le Figaroと英国BBCの料理雑誌オリーブが共同で行ったフランス人と英国人の食生活に関する調査によると、英国人のほうがフランス人よりはるかによく料理することがわかった。72%の英国人が毎日家で料理すると答えたのに対して、フランス人は59%であった。しかも英国では2人に1人が料理に30分以上費やしていると答えたのに対して、フランス人はそれだけの時間を費やす人はわずか4人に1人だった。しかも自宅でパンを焼くと答えた英国人はフランス人の2倍いた。英国のテレビでは料理番組の人気が高く、スーパーマーケットなどでは新しい食材が次から次に紹介されている。英国人の料理熱、そしておいしいものを食べる意欲は非常に高くなっている。

なお、一般に、英国では、スターター、メインコース、そしてデザート(プディングとも言われる。なお、日本人にはデザートの発音が難しいので、プディングと発音する方が無難)の3コースがお決まりである。これは、エリザベス女王の主催する晩餐会でも基本的に同じ。しかし、私は、3コースに限らず、もう少し出すようにしている。満足感が高くなると思われるだけではなく、何を出すか考えているうちに、出す料理のつながりから、間に何か他のものが必要だったり、出てきたアイデアを捨てるのがもったいないので、それも出してみたいと思うことが多いからだ。

日本では、ご飯という非常に便利なものがあり、おかずを食べてご飯、そして他のおかずを食べてご飯という具合に、ご飯で口の中を「洗浄」するような効果があるが、英国人はご飯を日本人のようには食べない。白ご飯を出しても、いったいどのように食べるのか見当もつかない人がほとんどだ。そのため、ご飯物は、焼き飯のように、そのもの独自で食べられるようなものとして出す必要がある。また、例えば肉料理と一緒に添えて手を加えたご飯料理を出す、もしくは握り寿司や巻き物のような形で出すという具合だ。さらに、日本では、白ご飯があるために、出す料理の順序をあまり気にしない傾向があるようで、すべてを一挙に出すということもあるが、英国では、出す料理の順序はかなり重要だ。これは、舌にかなり重い味の料理を出した後で、軽い料理を出してもその味を十分に楽しむことが難しいからだ。

英国在住の日本人家庭に招かれて、英国人の妻と一緒に訪問したことがあるが、日本人家庭で出されるものは、圧倒的に「手巻き寿司」が多い。これは、手巻き寿司なら間違いない、という考え方からきていると思われるが、もう少し、バラエティ豊かであってもよいと思う。私の料理が何らかの参考になれば幸いである。